今を去る30年ほど前、松原治良はインパルス試験器
の製造に携わっておりました。ある社の下請けとして組み
立て、調整、出荷、まで手がけていました。

 今から見れば技術的には幼稚な製品で、標準コイルと
試験コイルの減衰振動波形を2現象でブラウン管に表示
させ、波形の違いを目視により合否を判定する方式です。

 お客様からの依頼でサンプルコイルを試験する時があり
ましたが、いつも頭をよぎるのは自動判定を完成させたい
ということでした。波形を見て比較判定しますと目視的に
波形が大きくずれたものが不良の程度が大きいと判断する
のですが、実際にコイルの質を評価すると、試験項目によっ
ては波形のずれはあっても不良ではない場合があって、単
純に、波形のずれの差=不良の程度差 とは言えないこと
が分かってきました。

 そこで考え始めたのが通常私たちがコイルの評価をする
時に用いる L、C、R、(Q)、を基本として測定して数値と
して表示することです。そして、各測定ファクタは独立して
測定され、許容範囲も独立して設定できるようにすることで
わずかな差でもコイルの質や寿命に関わるファクタは厳しく
判定し、関わりのないものは和らげることが可能な方式を
とることにしました。

 コイルを高電圧の共振環境におくためにまず問題になった
のはインパルス発生用のサイリスタでした。サイリスタによる
インパルス発生回路はサイリスタ特有の制約があり、コイル
自身の特性以外のファクタが入り込んでくるため、発生する
減衰振動波形は試験コイルの持つ特性が全て反映されない
欠点があることが分かりました。試行錯誤の末、高電圧スイッ
チにはPower Mosが最適であると言う結論に達しました。

 現在製品として提供させていただいていますコイルテスタ6060のシリーズ
はこの考え方を元に開発を進めました。開発の途上においてもお客様の
サンプルコイルを借用して合否判定方法を議論し測定器メーカー側の理論
倒れにならないよう常にチェックを致しました。
その結果得られた結論は現在のコイルテスタ6060及び6064に結実して
います。さらに詳しくは
6000シリーズの優れた方式  をご覧下さい。

開発の途上
UFJベンチャー育成基金より新規性及び経済性に優れ
ているとして助成金を受けました。 
  承認書

また、日本経済新聞社刊 ベンチャービジネス年鑑 に掲載いただいています。

このテーマに関する登録済み特許 2件
実願 2591966号
特許 3331259号















サイリスタ方式の波形例                              Power Mos方式の波形例
        100uH空芯                                     100uH空芯